若むらさきに とかえりの
若むらさきに とかえりの 花をあらわす 松の藤浪
これは、長唄「藤娘」の出のところです。
長唄だけが静かに響く暗闇の舞台に、まばゆいばかりの光が当てられると、観客のどよめきが起こる華やかで美しい舞台装置が突然浮かび上がります。
舞台いっぱいの松の枝振りから床まで届く藤の花房の下に、その一枝を肩にして黒い塗り笠をかぶり、藤の柄の染め・刺繍の施された振袖をまとった藤の精が立っています。
そこから始まるのは、なんとも華やかで可愛らしい娘踊りです。
藤の花は、子供の頃の遠い記憶を思い起こさせる特別な花です。
初めてのおさらい会で踊った「藤娘」の美しい衣装と大きな藤のかんざしは、子供心に古典芸能の華麗さと厳しさの両方を、その衣装の重さと共に実感させてくれました。
その時は、随分緊張したことでしょう。
それから、時にはお稽古に飽きて辞めてしまいたいと思ったり(母に無断で勝手に「辞めさせてください」と、申し出て逃走したこともありました。笑 けれど簡単にお稽古に連れ戻されてしまいました。)、古典の大作に取り組んで夢中になってお稽古に励んだり、いろいろなことがありました。
その二十数年間にわたってずっと見捨てずに、親身にご指導くださったお師匠様が他界されてから、もう15年以上がたちました。
そして私も、踊りの世界から離れてしまいました。
藤棚の下から藤の花房を見上げていたら、お稽古のときのお師匠様の声が小さく聞こえたような気がしました。
空も霞の 夕照に 名残を惜しむ 帰る雁がね
花房を手のひらに受けるとしっとりとしてわずかに冷たく、微かですが確かな重さを感じさせる藤の花は、踊りの世界に生きてこられた諸先輩の女性達のたおやかな姿そのもののようです。
これは、長唄「藤娘」の出のところです。
長唄だけが静かに響く暗闇の舞台に、まばゆいばかりの光が当てられると、観客のどよめきが起こる華やかで美しい舞台装置が突然浮かび上がります。
舞台いっぱいの松の枝振りから床まで届く藤の花房の下に、その一枝を肩にして黒い塗り笠をかぶり、藤の柄の染め・刺繍の施された振袖をまとった藤の精が立っています。
そこから始まるのは、なんとも華やかで可愛らしい娘踊りです。
藤の花は、子供の頃の遠い記憶を思い起こさせる特別な花です。
初めてのおさらい会で踊った「藤娘」の美しい衣装と大きな藤のかんざしは、子供心に古典芸能の華麗さと厳しさの両方を、その衣装の重さと共に実感させてくれました。
その時は、随分緊張したことでしょう。
それから、時にはお稽古に飽きて辞めてしまいたいと思ったり(母に無断で勝手に「辞めさせてください」と、申し出て逃走したこともありました。笑 けれど簡単にお稽古に連れ戻されてしまいました。)、古典の大作に取り組んで夢中になってお稽古に励んだり、いろいろなことがありました。
その二十数年間にわたってずっと見捨てずに、親身にご指導くださったお師匠様が他界されてから、もう15年以上がたちました。
そして私も、踊りの世界から離れてしまいました。
藤棚の下から藤の花房を見上げていたら、お稽古のときのお師匠様の声が小さく聞こえたような気がしました。
空も霞の 夕照に 名残を惜しむ 帰る雁がね
花房を手のひらに受けるとしっとりとしてわずかに冷たく、微かですが確かな重さを感じさせる藤の花は、踊りの世界に生きてこられた諸先輩の女性達のたおやかな姿そのもののようです。
by junko73oz
| 2007-05-10 03:48
| くらし
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